「ひもかわラプソディ」がどんなストーリーの映画かまるで情報がない。
なんかうどんの映画らしいよ、ぐらいしか。
でも僕は知っている。
脚本の初稿から映画の完成まで付き合うことになったから。
これ見よがしに深刻ぶることなく、テーマ曲のごとく軽快に、
しかし次第に、人々の些細なセリフのはしばしから、
風の街の本当の気持ちが姿を現していく。
それは吹きつける風の音にかき消されてしまいそうだ。
主人公はそこに熱いうどんで勝負を挑む。バカな男だ。哀しい奴だ。
でもいいではないかそれで。祝福してやろうではないか。
それが彼だというのだから。
KIRINJIのエンディング曲は船出を歌う。
物語のさらに向こうを思わせてくれる。
本当の結末はそこにあるのだ。